疲労の科学 ~すべての疲労は脳が原因だった

ヘルス

「最近疲れやすい」とかよく聞きます。下記の本は「疲労」というものを科学的に解明して、その対処法を書いた本です。疲労の原因をよく理解できれば、対処もしやすいです。ちょっと紹介します。

日本で疲労についての研究が始まったのは、比較的歴史は浅く1990年代です。1991年に厚生省が研究班をスタートさせ、1999年には、文部科学省の研究班が後を継ぎました。2003年には、大阪市立大学と大阪市、医薬品と食品メーカー18社、総合医科学研究所が産官学で連携し、「疲労定量化及び抗疲労食薬開発プロジェクト」が立ち上がりました。この本の著者はこのプロジェクトのリーダーを務めた先生です(任天堂の脳トレゲームの監修でも有名です)。2005年には、日本疲労学会が設立され、「疲労の定量化」などの研究されて、いわゆる「疲労の科学」を進化させているそうです。​​

疲労の原因

まず疲労の原因ですが、よく言う「乳酸」ではなく、「活性酸素​​」なのだそうです。人間は、細胞内で酸素を燃焼して作り出したエネルギーを使って活動しています。この過程の副産物として発生するのが、活性酸素です。

その活性酸素が、細胞内のさまざまな箇所を傷つけて、細胞の機能が低下し、活動のパフォーマンスが落ちる。これが疲労の基本的なメカニズムです。

そして、活性酸素によって損傷した細胞を発見した免疫細胞が、目の上辺りにある脳の眼窩前頭皮質に「細胞たちが疲れているぞ」という伝達物質を送り、それを受けた脳が、その細胞に向けて「休め!」という命令を刺します。その命令が「疲労感」になって現れるということだそうです。

よって、疲労回復とは、活性酸素によって傷ついた細胞が元通りに修復されることを意味します。

しかし、仕事が忙しくてなかなか休めなかったり、なかなか思うように疲労回復できない人も多く存在します。

疲れているのに眠れない人もいます。これは、自律神経の乱れが原因です。自律神経は、主に緊張・運動・覚醒機能をつかさどる「交感神経」と、リラックス・休息・睡眠機能をつかさどる「副交感神経」の二つで構成され、正反対の働きをする二つの神経がスイッチすることで、体内のバランスを保っています。しかし、これがストレスのかかる環境や、明るい光にさらされると、うまくスイッチできなくなり、疲れていても眠れない状況が出てくるわけです。

また、やりがいのある仕事をしていると長時間労働でも、不思議と疲れをかんじません。これは「疲労のマスキング」と言って、「やりがい」などを感じると前頭葉が免疫細胞からの疲労伝達物質をかき消してしまい、脳が「休め!」の命令を出さなくなってしまっているためです。

これが、ある日突然の「過労死」につながる原因だそうです。人間以外の生物にはない現象です。​​

そして、この本は、それを「睡眠」「食事」に注意して予防・回復しましょうという内容になっています。

定量化

さて、日本疲労学会が、「疲労の定量化」などの研究をしているといいましたが、体温計で熱を測るように、「どのくらい疲れているのだろう?」と家庭で測定できる日もそう遠くないそうです。そうなると近未来は、熱と同じように「今日は疲労度がxxなので休みます」というようになるのでしょうね。

現在でも、心電波と脈波で自律神経の働きを数分で測定できる装置は、既に開発されています。価格は130万円と高額ですが、すぐに普及価格帯に下がっていくと思います。

また、抗ストレスホルモンの「コルチゾール」も​​唾液検査で測定可能です。この値が低いと副腎疲労なのだそうです。これは、病院で測定できます。

睡眠

さて、自分の疲労度がわかったところで、それをどうするのという事ですが、いろんな疲労回復法があると思いますが、やはり、「睡眠」が一番大切なようです。

日本人の睡眠時間の平均は6時間程度だそうですが、7~8時間くらいが一番いいようです。そして、眠りの質も当然ながら重要です。下記に少し眠り方の紹介していますので参考にしてください。

いびきは睡眠の質を低下させます。睡眠中に無呼吸になる「睡眠時無呼吸症候群」も注意したほうがいいです。今は、病院に泊まり込みして検査しなくて自宅で簡単に安価(3000円程度)でやれる「簡易型睡眠時無呼吸検査(携帯型PSG)​​」というのがあるそうなのでチェックしてみたい人は試す価値ありですね。

また、仰向けに寝ないで、右向きに横になって寝るといびきをかく確率は半分になるそうです。そのための抱き枕とかも有効だそうです。

今、寝具業界は、この「快適眠り戦争」しているのをご存知でしょうか?彼らは彼らなりに眠りを科学していて、研究所を持っているほどです。そして、眠りにいいマットレスや枕を開発しています。私もこれにはまっている一顧客です。老舗の東京西川のサイト​ですが、眠りの情報がいろいろあります。​

眠りの質を測るような測定器も健康家電でありますので、いろいろ睡眠法を試して、それをこの測定器で測ってどの方法が効くかチェックするといいと思います。

あとは、睡眠ではないですが、「瞑想」も疲労には凄くいいそうです。米国では、瞑想などを通じた脳の休息法「マインドフルネス」がひとつのトレンドになっているそうです。

食事

食事による疲労予防です。よく言うスタミナ料理のニンニクやウナギや焼き肉は、日本人が慢性的に栄養不足だった頃に有効だった食事だそうで、今では逆に栄養過多になるそうです。

現在の抗疲労成分というと、活性酸素を軽減する抗酸化作用のある「イミダペプチド」です。そしてそれが大量に含まれているのが、長時間羽を動かし続けて飛べる渡り鳥の​​胸肉だそうです。渡り鳥は食べれませんが、鶏の胸肉にも大量に含まれています。

一日の適正摂取量は200mgだそうなので、そのためには、鶏の胸肉100gを摂ればいいという計算です。鶏肉が苦手の方はサプリメントもあります。私も以前はこのサプリを飲んでいましたが、今は鶏の胸肉を一日120g摂るようにしています。

また、黒酢などに含まれるクエン酸も疲労に効くそうです。

このコンビニのサラダチキンは優れものです。筋肉を保つには体重の1000分の1のタンパク質が必要です。60㎏の人は60gですね。鶏の胸肉には100gに20gのタンパク質があるので、これだけで必要摂取量の3分の1がとれます。そして、カロリーも100kcalちょっとくらいしかありません。

これは、チルド商品の中でのベストヒット商品だと私は思います。

​ところで、タンパク質というと「鶏むね肉」と「プロテイン」が定番ですが、私は、BASEパンという栄養入りパンを毎朝摂っています。タンパク質14gもあるのです(プロテインの8割くらい)。また、これにはタンパク質以外にもいろんな栄養素が入っていますし、味もいろんな種類がありとてもおいしいです。是非おためしあれ。

呼吸法もいいそうです。

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